ツイッターをしていると、時々考えさせられるツイートを見つけます。
そのたびに私は考えるのです。
確かに言われる通りですが、別の視点から見ればどうだろうかと‥‥
本当に言われる通りなのかと‥‥
そんなわけで、今日は円高が良いのか?円安が良いのか?を考えました。
まず結論から言いますと、『安定とバランスが大切』だという事です。
円高が良い理由としてよく言われるのが『円高は日本の価値が上がったという事だ』というのです。
確かにその通りで、基本的にそれは良い事です。
でもですね、円高になるのは、別に日本の価値が上がったからという理由だけではありません。
例えばドルが刷られれば、ドルに対して円は上がりますよね。
これは別に日本の価値が上がったのではなく、ドルの価値が下がっただけで、アメリカの価値が下がったわけでもありません。
逆も然りで、日銀の金融緩和で円安になったとしても、別に日本の価値が下がったわけではありません。
単純に円の価値が下がったに過ぎないのです。
つまり言いたいのは、日本の価値が上がって円高になるのは良いけど、そうではない円高は好ましいものではない可能性があるという事です。
そして、仮に日本の価値が上がった事による円高だとしても、問題があったりします。
ちょっと極端な例で話をします。
たとえばトヨタが、燃費が100倍良い自動車の開発に成功したとしましょう。
そうなれば、毎日ガソリンを入れていた人も、年に4回ガソリンを入れれば済む事になります。
当然トヨタの車は売れまくりますね。
海外の人たちは競うように円を買いまくり、円はメチャメチャ高くなるでしょう。
これはトヨタの価値が爆上げした事により、日本の価値が全体的に上がったという事です。
しかしここで困るのが、その他の企業です。
トヨタ以外は別に価値が上がったわけではないので、他のモノが海外に対して売れなくなります。
他のモノも、輸入した方が圧倒的に安くなってしまうわけで、国内でも売れなくなります。
いくら日本の価値が上がったとしても、日本の産業が死んでいくわけです。
この場合、失業した日本人はみんなトヨタに就職して、売れる自動車の生産に回るわけです。
そうすれば日本は儲かり、国民も潤い、更に生活必需品は輸入品を安く買えるわけで、もう日本人みんな裕福な暮らしができるようになります。
さてこの時、国民は豊かにはなりましたが幸せでしょうか。
世界で何か問題があった時、安全保障は大丈夫でしょうか。
更にもしもこの10年後にアメリカが燃料無しでも走る自動車の開発に成功したらどうなるでしょうか。
一気にトヨタ製品は売れなくなります。
日本の労働者は何処に行くのでしょうか。
元の仕事に戻るにも、10年のブランクの間に、戻れなくなっているかもしれません。
一度失ったものは同じようには戻らない事も多々あります。
これは極端な例ですが、実際にそのような事は起こっています。
日本の円は、中国の元に対して高く、中国の安いものを買う事で、家電や先端機器の製造産業が衰退しました。
今中国の人件費が高くなったとしても、もう元には戻せないのです。
円高は、失ってはいけないモノを失ってしまう事もあるのです。
だから、円高は良いけれど、大切な産業を失わない程度までに抑えなければなりません。
感覚としては、『日本製を買うのは少し高いけど、やっぱり日本製を選んでしまう』くらいの円高にするのがいいのです。
そして、円の価値がこのように乱高下したら国民の生活は安定しないわけで、安定するのが重要です。
まとめとして、日本の価値が上がれば円高になるけれど、円高になる要因はそれだけではないので、「円高は日本の価値が上がった事なので良い」とは言い切れません。
円の価値は丁度いい所があり、その辺りで安定させる事が一番良いという事。
大きく上がったり下がったりするのはあまり良くありません。
まあ投資している人は上下した方がうれしいわけで、上下させるようなアクションを起こしてくるんでしょうけれどね。
で、今なんですが、割と良い所にあるように思いますよ。
そして金融緩和は円の価値の上下であり、日本の価値の上下ではないので、必要ならやって良いと思います。
だって円がいくら増えた所で、日本の価値は変わらないのですから。
そして円の価値は、日本の価値から大きく逸脱するほど安くなる事はなかなかないでしょう。
日本の借金とか言われているものはお金の発行数であり、それが既に多いわけです。
つまり少し増えた所で大きな影響は与えませんからね。