先日から色々考えております。
インフレやデフレ、円安や円高、それらをコントロールしてどこまでやれるのか。
なかなか難しい問題です。
これまで私は以下の記事を書いてきましたが‥‥
経済は、インフレにしたりデフレにしたりとコントロールできるのか?
円高が良いのか?円安が良いのか?金融緩和で円安にはしない方がいいのか?
今日は更に色々と考えていきます。
まず抑えておきたいと思ったのは、『景気が良くなり日本が成長すれば、ほぼインフレになる』という事です。
もちろんインフレやデフレの要因というのは無数にあるので、一概には言えません。
それらの要因を全て把握する事も不可能です。
ただ、可能性としてそうなる確率が圧倒的に高いという事です。
確実にあり得る例外としては、景気が悪い所から良くなり始めた頃は、生産性に余裕があるので、直ぐにはインフレにならない事。
或いは逆に、その頃売り上げを伸ばそうと安くする人も出てくるので、デフレになる場合もあります。
しかし好景気が続き、日本経済が成長していけば、人手が足りなくなり、人材争奪合戦になりますから、給料は上がり、確保できない企業は『サービス価格を上げて仕事を減らさざるを得ない』わけで、そこで初めてインフレが始まります。
インフレになる状況というのは、お金の価値よりモノの価値が上がる状態ですから、益々景気は良くなり、ずっと好景気が続く事になります。
これがインフレスパイラルですね。
経済政策でインフレを目指すというのは、このインフレスパイラルを人為的に作り出そうという所ではありますが、経済の潤滑油はお金であり、お金を増やす事も同時に必要になってきます。
金融緩和というのは、それらを同時に行い目指す為に良いとされています。
一方デフレですが、デフレというのは景気が悪く成長に乏しい時に起こります。
魅力的なサービスやモノが作れず、人材が余った状態です。
売れないから益々価格は下がり、雇用は減っていきます。
値下げの過当競争が起こり、競争力の弱い所から潰れていきます。
競争力のある所はそれでも売り上げを伸ばし成長も可能ですが、それは多くの屍の上に立つ勝者です。
お金の価値がモノよりも上がり、同じ日本国民の間でお金を取り合うのがデフレであり、勝者と敗者がハッキリ出てきます。
つまり格差は広がり、失業率も増えていくのです。
言い方はちょっとアレですが、インフレとは馬鹿でも稼げる状況、デフレとは馬鹿はドンドン貧しくなる状況なのです。
では次に円高について話します。
円高は日本経済が成長している時に起こります。
ただし、成長していても、円安になる場合もあります。
それは何故かというと、円高になるか円安になるかは絶対的なものではなく相対的なモノだからです。
本来は、インフレになると円高圧力が生まれます。
景気が良く成長しますから、日本の価値が上がり円が上がるわけです。
しかし例えばアメリカが日本以上に成長していたとしたら、相対的に日本はマイナス成長となり、円安になるわけです。
それでも日本経済が成長しているのなら問題はありません。
国内の経済活動が活発なので、輸入品が高くなっても相殺できるわけです。
大切なのは日本が成長している事であり、円の価値ではないのです。
とは言え、好景気、インフレ、円高、という状態が一番良い状態ではあります。
ただ前の記事でも書いた通り、常に先頭をひた走れるならそれも良いですが、良い時悪い時が必ずあります。
そう考えると、ある程度バランスを取っていく必要があるわけです。
円安になるというのは、日本の成長が止まっている時、或いは相対的にマイナス成長してる時です。
基本的に円安は良くありません。
ただし輸出がしやすくなるので、これを機に好景気のインフレに持っていきやすくなります。
まあ大切なのは、好景気のインフレであるという事なわけです。
さてしかし、これはあくまで基本にすぎません。
インフレやデフレ、円高や円安というのは、通貨量によっても変わってきます。
通貨量を増やせば景気は良くなりインフレになりますし、減らせばデフレになります。
通貨量を増やせば円安になり、減らせば円高になります。
しかし通貨は経済活動の潤滑油ですから、それなりにコントロールが必要だと私は考えています。
ではどれくらいに調整するのがいいのでしょうか。
当然ですが、好景気が良いに決まっています。
しかし良すぎてバブルになってはいけませんね。
そのような調整が可能なのかという事です。
結論を言えば、100%コントロールは無理です。
でも平時なら、ある程度のコントロールは可能です。
通貨量を増やしていけば、円安になり好景気のインフレにもっていきやすくなります。
そして通貨量でもインフレになりますから、インフレスパイラルを期待できるわけです。
この2点で日本経済の成長を促していけば、適量の通貨量で好景気のスパイラルに入り、それが他国よりも上手く行けば、徐々に円高に向かうわけです。
通貨量によって円安になっても、日本の価値を上げる事で円の価値を戻す事ができるわけです。
ちなみに完全に戻せなくても、国内景気が良いので、輸入による価格上昇は相殺できます。
更に輸出企業はチャンスが続くので、大きな問題にはならないでしょう。
これはまあ理屈の上での話ですけれどね。{笑}
景気は気持ちでありますから、税金が高ければ守りに入り景気は良くなりませんし、経済成長するにはイノベーションも必要です。
規制で雁字搦めにされていては、イノベーションも起こらないでしょう。
ただ、結論としてやはり言いたいのは、日本人にとって良い状態というのは、好景気であり、日本の成長であり、だから適度なインフレであり、円高であるという事です。
ただしあまり裕福になり過ぎると、前の記事でも書いた通り、日本の産業が死んでいきます。
そうで無くなった時の反動が怖いわけです。
だからやはりどこかで安定が一番なわけですね。
インフレやデフレ、円高や円安、そういう所で状況の良し悪しを測るのなら、私は『ややインフレ状態で、海外のモノを買うより少し高くても日本のモノを買う』くらいの円の価値である状況が最も良いと思います。
日本の価値を上げて円高、通貨量を増やして円安、最小限のインフレでこれらがバランスをとって円の価値が安定する状態が良いですね。
まだ世界は一つではありません。
世界が一つで、全ての国が秩序をもって戦争なんてしない世の中になれば、産業が死のうが大きな問題にはならないからトップをひた走る事を目指すのもいいでしょうね。
でも、今はまだそんな世界ではありません。
最低限守らなければならない産業もあります。
今はバランスのとれた状況を目指していけたらと思います。
そんなわけで、私は『本当のアベノミクス』を支持しています。
金融緩和、減税、規制改革(廃止)が必要です。
それが好景気の良性インフレスパイラルを呼び、円の価値も適度に安定させます。
色々考えますが、私の結論部分は変わりませんね。
そうそう、通貨価値の安定の為、アメリカの行動に合わせる必要があるという話もあります。
他国とのバランスも大切というのです。
これも尤もな話ですが、日本が好景気になり経済成長するのなら、ある程度は問題を相殺できます。
アメリカが金融を引き締めたら、円安圧力が倍になります。
しかしその間アメリカの成長は鈍化し、相対的に日本の成長が伸びます。
結果変わらないのです。
理屈の上ではですけれどね。
思惑によって投資家がどういう動きをするか、要因は無数にあるわけで、少し危険度は増すという事です。
だから気にせず大丈夫とは言えない、そういう事です。
最後にもう一つ。
円高が凄く進んだ時期がありました。
でもあの時、景気は最悪でしたよね。
あれは金融引き締めによってつくられた円高であり、日本の成長によって円高になったわけではありませんでした。
あの時しっかりと金融緩和していれば、日本はもっと成長できていたんですけれどね。
逆に産業は死に、景気も悪くなった。
でも円高によって実感しにくかった。
やられたって感じの数十年でした。