小池都知事を支持している人というのは、古い悪しき体質の改善を求めているのだと思います。
都のボスが都政を仕切るのではなく、都民や国民が見える形で、普通にみんなで相談して決められる都議会が理想なのでしょう。
しかし政治というのはそんな単純なものではありません。
商売をしていれば分かると思いますが、お金が動く時というのはお互いさまという部分があるのです。
金を出す方が常に偉いと思っていたら、仕事をしてもらえず困る自体にもなります。
私の知るあるお金持ちの会社の社長は、金は出すけれどとにかく無茶苦茶です。
だから社員はまともに働かないし、その会社と仕事の付き合いをしてくれる人も少ないです。
結局その社長は、仕事をやってもらう為に余計な金を多く支出する事態となりました。
政治というのはみんなから集めたお金をどう使うのか決める仕事です。
それをクリーンにするというのも、実は限界があるのです。
安くいい仕事をしてもらおうと思ったら、常に国民や都民の納得いく提示はできません。
ドライな関係で仕事をしようと思えば、仕事をする方のモチベーションは金だけになります。
でももしそこに何らかの別の感情があればどうでしょうか。
金以外に動かされ、いい仕事をしたり無理も聞いてくれたりするのです。
どっちが国民や都民にとって得なのか、それを考えてやるのが政治家の仕事なのです。
クリーンな政治にするというのは、政治家の職権乱用や自分の為の政治をやらないという意味では大切です。
でもだからと言って、今までのやり方が全て駄目だという事はありません。
小池都知事はこれから東京オリンピックを成功させる為に、色々な人の協力を得なければなりません。
でもそういう人たちを全て敵に回せば、逆にお金も時間もかかり、結局都民にマイナスとなるでしょう。
豊洲移転を待ち望んでいた人、準備をしていたのになかなか進めない人、多くの人に迷惑をかけています。
全てが悪いとは言いませんが、引くに引けないからグダグダしているのは駄目です。
もう移転しかないのですから、それはとっととやるべきです。
そのうえで、何か不正があったのなら追及していけばいいのです。
オリンピックを失敗させたいなんて思っている人はいないでしょう。
少なくとも携わっている人は成功させようと頑張っていると思います。
だから最終的にはなんとかなるとは思いますけれど、もっと良いものができたと後悔しないようにしてほしいですね。
全てクリーンな方が良いと思っている人に分かってもらう為に、最後にこんな話もしておきます。
国の事業というのは、規模が大きくなればなるほど、できる企業は減っていきます。
そしてある一定の規模を越えれば、その仕事を計算に入れて準備しておかなければできるものではなくなります。
例えば今いきなり、空母１０隻造るからやってくれと頼まれても、できる企業なんてありません。
人員、ノウハウ、資金、あらゆる面で準備が必要なのです。
だから常に国の事業を競争入札でやるのには無理があります。
今１０億円が相場の仕事を１０社で競争したとして、それが定期的にありそうな仕事なら、まずは採算が取れなくてもいいからとにかく仕事を勝ち取ろうとする企業が現れます。
次も、また次も取れば、他の９社は少なくとも現状より良くなる事はありません。
しかしやっている所はノウハウも蓄積し、無理せずとも安くできるようになっていきます。
そうなれば他の９社はもう太刀打ちできず、ある程度の準備もしなくなります。
そしてドンドン仕事を受ける場合の予算も増えていく事になるでしょう。
そうなればもうその１社の思うがままに仕事の値段を決められるようになります。
ゆくゆく普通にやっていれば８億円くらいでできたものが、１０億円でも入札できるのが１社しかない事態になります。
将来的に損なわけです。
しかし談合して最初から将来の８億円を見据えて３社程度でローテーションして仕事をしていたら、８億円で済むわけです。
技術の競争もできるし、国は企業に恩を売る事だってできます。
偶に無理を言って７億円と言ってもやってもらえるでしょう。
国の為にそういう駆け引きをするのが政治家の仕事なのです。
全て自由でクリーンな競争を求めるのは、主に外国企業でしょうかね。
日本人同士は今まである程度上手く住み分けをしてやってきていました。
商売なんかは暗黙の縄張りみたいなものもありましたからね。
例えばラーメン屋の横で新しくラーメン屋はやらないみたいなね。
全てが良いとは言いませんが、多少人との繋がりで動く部分が有った方が、みんなが得をするんですよ。
そうして日本は強く大きくなってきたのですから。
そんなわけで、小池都知事はその辺りもう少し考えてもいいのではないかと私は思います。
